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COLOR MOMENTS
Kione
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2021.8.22(sun) - 9.12(sun)
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Kioneはアメリカでアートを学んだ後、現在は京都で制作を続けるモダンキルトアーティスト。
布地という実態のある素材に五感で触れながら、即興で組み合わせで生み出される色彩豊かなキルトは、本人が傾倒していると言う、Sonia DelaunayやAnni Albersといった、モダンデザイン創世記のアーティストのように、ものと情報に満ち溢れた現代における、創作活動の喜びと意義を、あらためて問いかけているように感じます。体をくるむ、生活を彩る、心温まる作品を肌で感じていただけますと幸いです。
Artist Statement:
大学の色彩の授業で、ペインターの教員から「Color Moment」という言葉を学んだ。直訳すれば「色の瞬間」だろうか。偶然、複数の色が隣り合わせになったり、交差したりして、自分にとって心地よい色の組み合わせが生まれる瞬間を指す。以来、私はあるデザイナーの生地を素材に、その主観的かつ直感的な色彩の心地よさを縫い止めようと、作品を作っている。

作品を作るために布を裁つと、ほぼ必然的にハギレが出る。2015年から使っているハギレの箱の中には、過去作品や制作途中のプロジェクトの余りが無造作に詰め込まれている。中身は制作過程とともに増減を繰り返し、箱の隅にくしゃくしゃになった色の瞬間を発見することだってある。布の「色」は、そのフォルムと切っても切り離せない関係にあり、過去の制作における判断の結果が、ハギレとなって次の作品のコンポジションへ組み込まれていく。

17世紀以降の近代英語で、ハギレは「cabbage(キャベツ)」とも呼ばれていた。当時の仕立て屋が顧客の生地をくすねたほど、織物が貴重だった。布があふれる今、自分が作るものには機能を与えたいと思う。パッチワークのロジックを参考に、極力無駄を減らしながら、制作に即興性を取り入れることでパターンの秩序を崩し、縫い目で捉えた構図をキルトやバッグ、衣服に仕立てる。

私の手仕事から、贈り物のような温もりが伝われば嬉しい。身をくるめて暖をとったり、持ち歩いたりしてほしいと思う。そして長く使ってもらえるように、色合いの心地よさ、触り心地のよさを大切にしたいと思う。
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Artist Profile:
2015年ベニントン大学卒業。2012年に「Kione’s」を立ち上げ、1点もののキルトやポーチ、衣服などを制作。現在は京都を拠点に制作活動を続ける。
https://www.kionek.com/
https://www.instagram.com/kionek/
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Exhibition design & production:
Toshihisa Aida (TAAO)
https://www.instagram.com/aidatoshihisa
Kotaro Shimada (TEAM)
https://t--eam.tumblr.com/

DM design: Shotaro Hirano

Photography:Go Tanabe
https://gotanabe.com/